続・オヒ!の殿堂3(番外編)

藤堂俊介がこっそり書くブログのようなもの

エールはなぜつまらない

エールなぜつまらない


 NHK看板番組の1つ《連続テレビ小説》。主役に起用されることは名誉かつその後の活躍の幅が拡がる。


 視聴者が長年チャンネルを合わせたのは時計代わりとは違い、視聴者と主人公が登場する時代が共有されていたこと。今様に言うならば、主人公とリンクしていた。《おしん》が高い支持を得たのは、脚本家の《苦労続きの時代を駆け抜けた》という確固としたテーマがあったから。


 明治から昭和の時代は戦争、敗戦、高度成長と大きく変わった。この時代の人々に焦点を当て、主人公の生き様を描く。視聴者は15分間、あの時代を振り返り、主人公の世界と共有する。


 エールはどうかと言えば、著名な作曲家を用いたコントの連続。作曲家を用いたのに音楽は二の次。徹頭徹尾ギャグコント。コントをつないだだけであるから、時間も場所も、おまけに作曲家の曲の背景までバラバラにしてつないでいる。その場面、その瞬間が面白ければ、物語の筋はどうなってもいいという作りである。


 これでは主人公に共感も、同じ時代に生きた人々の15分間の振り返りも難しい。史劇は完璧に再現は不可能である。それでも、史料や作品は大量にある。ギャグ漫画にしてしまったのは、綿密な取材を怠ったを意味している。


 現在、撮影は止まっている。ギャグ漫画基調で先の大戦をどのように描写してしまうのか、見なければ良いでは済まされない。