【電卓】消える電卓の平方根キー
消える電卓の平方根キー
最近の一般電卓には、平方根キーを省く傾向がある。平方根キーの代わりに右シフトキーに置き換える機種も低価格帯の電卓で増えてきた。平方根を計算するより、桁を一桁ずらす方が需要があるのだろうと電卓メーカーが考えたのか、それとも要望なのか知る由もない。
一般事務計算または家庭でのお金の計算において、平方根を使うという場面は意外と少ない。ゆえに省いたのだろうと考えられる。この根拠を裏付ける一つの例として、事務計算目的のプリンタ電卓には全て平方根がない。
ただし、CASIOの海外モデルの一般電卓を見ると、日本向けモデルは平方根を省いている電卓が、海外モデルでは平方根がついているということもある。つまり海外では、平方根の需要がある。とみなしてよい。この差は一体何なのであろうか、小さなことだが突き詰めていきたい。
さて、一般電卓の黎明期、電卓には平方根がほとんどついていなかった、時代が進むにつれ、搭載される機種が増えた。これは何なのであろうか、平方根は中学数学で習う。二次方程式の解の公式でも用いる。直角三角形の比率にも平方根が登場する、正方形の対角線の長さは、一辺の長さのルート2倍である。対角線の長さがわかれば、ルート2で割ると、正方形の一辺の長さがわかる。これを利用した物が曲尺という大工道具である。
数学の教科書には、付録として平方根を表が付いていた。実生活には、意外と平方根が隠れている。
一般電卓での平方根の計算は、先に数値を入力するか、答えとして表示された数値に平方根キーを押すという操作をする。一般的な書式と反対の操作である。もし一般通りの、やり方にして欲しいと言うならば、平方根キーを押した後に数値を入力し、=を押すという仕様に変えなくてはならない。これは現在の入力関数電卓で用いられている。
電卓での平方根の出力については注意が必要である。中学数学で習ったことを思い返してみよう。aの平方根は、ルートプラスマイナスaとなる。この内、電卓は正の値を表示する。
一般電卓では、平方根キーを押すと、整数または小数点表示になる。小数点表示は近似値である。負の値を入力し平方根キーを押すと、全ての一般電卓においてエラーとなる。負の値の平方根は、高校数学での虚数単位で登場する。一般電卓の仕様によっては、-0を入力後、平方根キーを押すと0になる場合と、エラー表示をする場合がある。故障ではないので注意する。
(問題)
一辺10cmの正方形の対角線の長さは。
(操作)
10×2√= (表示 14.142135・・)
(補足)
桁指定スイッチがある場合は、F以外の数字に合わせる。日常生活においては、小数点以下第2位まで合わせておくといいだろう。端数処理スイッチは、四捨五入が望ましい。状況によっては、切り上げでも切り捨てても良い。 一般的に手に入る定規においては、測れるのはミリ単位までであるから、cmを基準にすると、桁指定スイッチは2に合わせておく方が良いだろう。1mm以下の答えまで出る。桁指定スイッチに1がある場合は、そちらに合わせる。端数処理は四捨五入が望ましい。
一般電卓に平方根キーが完全に駆逐されることは、今のところないと思われる。もし完全駆逐された場合は、関数電卓を購入するか、中学数学の参考書または教科書に載っている平方根表を用いるしかない。ニュートン法を使って何度も同じ操作を行い、平方根を求める方法がネットを検索すると出てくる。ただし同じ計算の繰り返しなため、計算を間違える、手間がかかるという問題がはらんでいる。 ルート2においては、577÷408の答えが、ルート2の近似値にとても近い。
参考までに2から10の平方根の近似値を示す。
4の平方根以上は、素因数分解を使うとよい。
√2 577÷408
√3 362÷209
√4 2
√5 843÷377
√6 970÷396または√2×√3
√7 717÷271
√8 2√2→577÷408×2
√9 3
√10 721÷228または√2×√5
√11 995÷300
√12 2√3→362÷209×2
√13 649÷180
√14 √2×√7
√15 √3×√5
√16 4
√17 804÷195
√18 3√2
√19 789÷181
√20 2√5