続・オヒ!の殿堂3(番外編)

藤堂俊介がこっそり書くブログのようなもの

ファミコン探偵倶楽部

ファミコン探偵倶楽部
 昭和の終わり、平成の初年に出されたファミコンディスクシステム用のアドベンチャーゲームソフト。少年探偵が難事件を解決していく、提示された選択肢を選び物語を進めるゲームです。


 アクション、シューティング中心だったファミコンゲームの新しい分野としてロールプレイング、シミュレーション、そしてアドベンチャーが登場し、ゲームの形態は昭和の終わりに出揃ったとも言えます。


 アドベンチャーゲームが出た頃、ゲームブックも盛んに出版されていました。ゲームブックは、いくつかの選択肢が提示され、指定の選択肢に進むと、物語の進行に変化をもたせ、挿絵入り小説または漫画の形となっていました。選択肢を誤るとゲームオーバー、案外、物語の途中でゲームオーバーに選択肢が多く仕込まれていました。


 ファミコン探偵倶楽部には、原則、ゲームオーバーはありません。物語を進める重要な選択肢が見つからず迷うこともあります。


 原則ゲームオーバーなしと書きました。ディスクシステム版ではないと思われますが、スーファミ用に再構成されたファミコン探偵倶楽部2《うしろに立つ少女》には、選択肢によっては捜査が途中で終了する箇所が1つ存在します。ただし、通常の選択肢では出ませんからご安心を。裏技を集めた本をお持ちの方はご存知と思います。


 ディスクシステム版の本文と選択肢は、基本、ひらがな。2では、一部のアルファベットと《少女》が漢字でした。かな文字の文章は、同音異義語の区別が分かりにくい欠点があります。ロールプレイングゲームもかな文字文章でしたら、分かち書きの工夫がされていました。


 ファミコン探偵倶楽部の本文は、分かち書きでした。ただし、単語と助詞を分かち書きしておらず、ちょうど、かな漢字変換でいう《文節変換》の文節単位で分かち書きされていました。これが意外と読みやすく感じました。かな文字文章だった理由は、当時のコンピュータにおいて、かな漢字交じり日本語を扱うには、漢字ROMが必要でした。ファミコンにはそれが搭載されていませんでした。


 限られたファミコンの計算機資源でサスペンス小説をゲームにするには、工夫とアイデアが凝らされていたと思われます。


 5月、NintendoSwitch版で再構成され販売されました。これまで、スーファミ、バーチャルコンソールと任天堂主要ゲーム専用機で取り揃えられ、プレイできます。スイッチ版においては、広告動画を見ると映像描写も格段に上がり、声優の吹き込みも付きました。


 登場から三十余年経ちました。もし、主人公が現実にいたとしたら、50歳を迎え、綾城家に入ったのか、空木探偵事務所を継いだのか、橘あゆみとはその後どうなったか、興味は尽きません。初めてプレイする人もいますから、ここまでにしておきましょう。


 続編として制作された、BS探偵倶楽部は、NintendoSwitch版でも復刻は見送られています。ファミコン探偵倶楽部はこの3作のみで終わっています。


 私事になりますが、ファミコン探偵倶楽部をプレイして、小説を書いてみたいとワープロ専用機のキーボードを叩いていました。